報告1
- 1960年代日本文学の〈外部〉 森岡卓司 (山形短期大学)
1960年代の数々の文学的論争において、主体(作家、文壇、日本、そして小説というジャンル)の〈外部〉というテーマが如何に共有され、問題化されていったのかを素描し、それが1930年代のプロ文/ロマン主義を巡る議論をどのように反復し、差異化していったのか見通してみたい。一昨年来の「1968年論」ブームの成果を出来るだけ踏まえながらも、そこではあまり焦点化されなかった、〈在日文学〉をはじめとする〈外国人文学〉にも論及できればと思う。
発 表
- 『若い読者のための短編小説案内』(村上春樹)の対象作品をめぐって 土屋忍 (武蔵野大学)
- 1960年代における『日本浪曼派』再評価をめぐって 野坂昭雄 (大分県立芸術文化短期大学)
- 1960年代の梅崎春生―「記憶」を中心に― 高橋啓太 (北海道大学大学院)
梅崎春生が晩年に発表した「記憶」は、文字通り記憶のすれ違いを描いた短編である。そこで描かれる記憶とは、遺作の『幻化』などとは違い、戦争あるいは戦後をめぐるようなものでは全くないが、発表では、日常性・ユーモアといった
言葉による評価が定型化している梅崎を読み直す試みとして、このテクストに注目してみたい。その中で当時の文学論争や他の作家にも言及することができればと思う。
報告2
- 1960年代の日本近代文学研究―雑誌調査から― 高橋秀太郎・野口哲也 (東北大学大学院)
総合討議
|